伊勢奥津。今は広域合併のため津市の一部になっていますが、元々は一志郡美杉村でした。伊勢奥津は伊勢本街道の宿場町ですが、松阪から主に雲出川に沿って走るJR名松線の終着駅でもあります。名松線の名前の由縁は御存じでしょうか?本来、名張と松阪を結ぶ予定でこの名称になったのですが、伊勢奥津から先の路線が中止となったまま、いわゆる盲腸線になりました。この名松線も開通からなんと90年。11月7日には記念式も行われました。
赤字路線で、2009年には10月に来た台風のため途中の家城から伊勢奥津まで甚大な被害にあい、廃止も検討されました。と言うより、廃止の方向で検討されていました。それに対し、地元の人たちを中心とした名松線を元気にする会を結成し、津市や三重県の協力も得て、2016年3月に全線復旧しました。赤字ローカル線が復旧するのは全国的にもまれなケースでした。
松阪から伊勢奥津まで、一日8往復なので、2時間に一本、しかもすべて気動車一両の運行です(写真1)。途中の家城駅を除きすべて無人駅。家城駅は白山高校(野球部が2018年の夏の甲子園に「下剋上球児」と呼ばれて出場しました)の最寄り駅のため、平日の朝夕は通学に使われますが、それ以外の時間帯はゆったりと走ります。家城から伊勢奥津の間は雲出川と並ぶように走り、車窓風景はなかなかのものです。特に春の桜の時期や秋の紅葉の時期はお勧めです。
伊勢奥津駅には蒸気機関車時代の給水塔が残っています(写真2)。また駅に隣接して地元産物の直販店もあります。駅からすぐの所に旧伊勢本街道があり、懐かしい風景も残っています(写真3、4)。
一度お出かけしてみてはいかがでしょうか。
文・写真/ふるさと通信員・テツじゃ
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